どうすればいいの? 電子帳簿保存法への対応

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電子帳簿保存法とは

各税法で原則として紙での保存が義務づけられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で電子データによる保存を可能とすること、および電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律であり、2022年1月1日より改正された電子帳簿保存法が施行されております。今回の改正は、経理の電子化による生産性の向上などを目的としたものです。これまでの要件を緩和した改正が多く、電子化・ペーパーレス化に向けて背中を押すような内容になっています。

※国税庁~電子帳簿保存法が改正されました

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿等保存とスキャナ保存、それぞれに認められている書類の種類です。
手書きの書類はどちらの対象にも含まれないので、注意してください。

 電子帳簿等保存

「帳簿」「決算関係書類」「取引相手に交付する書類の写し」の3種類で、いずれも自己でパソコンなどを使用して作成することが

前提となります。 具体的な書類の例は下記の通りです。

 帳簿

仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など

ⅱ 決算関係書類

損益計算書、貸借対照表など

ⅲ 取引相手に交付する書類の写し

見積書、請求書、納品書、領収書などの控え

 ※国税局~電子帳簿ガイドライン

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_01.pdf

これらの書類を一貫してPCにて電子的に作成している場合は、データ保存でOKという保存区分です。
税務署への事前申請の廃止、真実性・可視性の確保要件が大幅に緩和されました。

② スキャナ保存

取引相手から受け取った書類及び自己が作成した、これらの写しなどの書類(決算関係書類を除く)について、一定の要件を満たしていれば、スキャン文書で保存できます。 具体的な書類の例は下記の通りです。

ⅰ 資金や物の流れに直結・連動する書類のうち、書類の真実性を補完するもの

   契約書、領収書など

ⅱ 資金や物の流れに直結・連動する書類のうち、所得金額の計算に関係するもの

   預り証、請求書、納品書など

ⅲ 資金や物の流れに直結・連動しない書類

   検収書、見積書、注文書など

   ※国税局~スキャナ保存ガイドライン

これらの書類を手書き作成や紙で受領している場合に、一定要件を満たすことで電子データ保存ができるという保存区分です。タイムスタンプの期限緩和(不要となる場合も有る)等が主なところです。

 電子取引(すべての事業者が対象※1

取引関係書類(見積書、契約書、納品書、請求書、領収書等) これらの書類をメールやECサイト等の電子データでのみ受領している場合は、その電子データでのみ保存するという保存区分です。
今までは紙で印刷したものを原本として保管できましたが、2024年1月1日以降は「取引情報を原則データ」で「電子帳簿保存法の要件に則って保存する」必要があります。※2

国税局~電子取引のガイドライン
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021011-068.pdf

※1 所得税と法人税を申告する事業者
※2 2023年度の税制改正大綱により、相当の理由によってシステム対応を行うことができなかった事業者は、2024年以降も一定の条件下で電子取引の出力書面(紙)の保存が可能です

経理の効率化・財務管理のデジタル・見える化に取り組むチャンス

電子帳簿保存法に対応することで、デジタル化することになりますが、そのメリットは多岐にわたります。

① 書類の保存スペースが不要に

紙で書類を保存する場合、書庫を用意したりと書類を保管するためのスペースが必要になります。電子データで保存すれば、その分コンパクトなオフィスを実現可能です。

② 用紙・インクコストの削減

書類の作成に必要な用紙やインク、保管のための書類棚・ファイルなどを用意せずに済むため、購入コストの削減が可能です。また、オフィスでの紙の使用や破棄を減らすことは、環境保全にもつながります。

③ 経理作業効率アップ

数年にわたって保管されてきた膨大な紙の書類から、目当てのものを探すのは大変です。電子データなら、検索機能で容易に目的の書類が見つかります。クラウドなどに保存すれば、オフィスにいなくてもアクセスすることが可能です。

④ セキュリティーが強化される

紙の書類は保管方法によっては誰でも手に取りやすく、盗難・改ざんされる可能性があります。オフィスの引っ越しやレイアウト変更で、紛失してしまうケースもめずらしくありません。一方で、電子データはパスワードの設定などで閲覧者を制限できますし、移動に伴う紛失のリスクも軽減できます。

事業者の皆様へ

2022年1月から予定されていた電子取引に関するデータ保存義務化は、ひとまず2023年12月末までに行われた分は紙保存が認められることとなりました。しかし今後、あらゆる分野でデジタル化・電子化がすすんで進んでいくことは避けられません。

現在、電帳法に対応した会計ソフト・クラウドサービス等がいくつか登場しています。今回の改正電帳法をきっかけにクラウド会計ソフト等を導入するのも一つの方法です。また、銀行やクレジットカードのデータと連携しながら記帳・保存するシステムもあります。これにより、経理業務が効率化できます。

会計ソフトを導入したら、次に「月次決算」に挑戦してみてはいかがでしょうか。小規模企業・個人事業者で「月次決算」をしている事業者は少数派ですが、月次決算を行うことで会社の業績をタイムリーに把握できるようになり、状況にあわせて経営方針を迅速に修正し、経営課題を早期発見、問題の深刻化を防ぐことにもなります。

何にせよ「電子取引」に関するデータ保存義務化は、2024年1月から対応しなければなりません。
経理業務を取り巻く環境が大きく変わるなかで、経理の効率化・財務管理の見える化を図り、課題の早期発見と企業の成長につなげるチャンスと前向きに捉え取り組んでみてはいかがでしょうか?

当税理士事務所では、会社のバックオフィスのお悩みやご不安に対して、各種クラウド会計導入など経理コンサルという形で様々なご提案をさせていただいております。

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